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ドローンの飛行ルールや承認が必要な飛行方法

ドローンの活用が広がる中、飛行にはさまざまなルールと制限が設けられています。とくに100g以上の機体は「無人航空機」として航空法の対象となり、飛ばす方法や空域によっては事前の承認が必要なケースもあるため注意が必要です。

本記事では、飛行時に守るべき基本ルールや、承認が必要な飛行方法、安全対策までを詳しく解説します。ドローンの運用を検討する際の基礎知識として、ぜひご確認ください。

 

ドローンには飛行方法に関するルールがある

ドローンを飛ばす様子

ドローンは誰でも操作できる便利な機器ですが、空を飛ばすという性質上、使用には明確なルールが定められています。とくに2022年の航空法改正により、100g以上の機体は「無人航空機」として国の規制対象となり、飛行方法や空域など厳格なルールが設けられました。

業務でドローンを扱う事業者だけでなく、趣味での操縦も含めドローンを扱うすべての操縦者にとって、ルールや法的な決まりごとの理解と遵守は必須です。

安全かつ合法的にドローンを飛行させるため、基本的なルールや承認が必要になる飛行方法を正しく押さえましょう。

 

ドローンの飛行ルールで必ず守るべき4つの基本事項

ルールと書いてあるサイコロ

ドローンを飛行させる際には、飛行場所を問わず全国共通で守らなければならない基本ルールが定められています。

特に以下の4項目は、ドローンを飛行させる場合に厳守しなければならない最低限の基準です。

アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
飛行前確認を行うこと
航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

違反すれば罰則の対象になるほか、他者を巻き込む重大な事故につながるおそれもあるため、飛行前には必ず確認しておきましょう。

 

アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと

飲酒や薬物の影響下でのドローンの飛行は、法律で固く禁止されています。

アルコールによる身体への影響は個人差が大きく、体質やその日の体調によって変動します。体内に保有するアルコールがごく微量であっても、反応速度の低下や判断力が鈍るなど、無人航空機の正常な飛行に悪影響を与えるおそれがあります。

そのことから、アルコール濃度の高低にかかわらず、体内にアルコールを保有している状態での飛行は一切避けるべきとされています。

また「薬物」とは、麻薬や覚醒剤などの違法薬物だけでなく、睡眠導入剤や咳止め、抗不安薬などの医薬品も含まれます。たとえ市販薬であっても、眠気や判断力の低下を招く可能性があるため、服用後の飛行は避けるべきです。

道路交通法における飲酒運転と同様に、重大なリスクを伴う行為として扱われ、違反した場合には「一年以下の懲役または30万円以下の罰金」(航空法第157条の4)という罰則が科されます。

 

飛行前確認を行うこと

飛行前の点検は、ドローンの安全飛行を支えるもっとも重要な準備作業が「飛行前の確認(プレフライトチェック)」です。確認すべき項目は、航空法「第236条の77」に定められており、具体的な確認事項は次のとおりです。

航空法「第236条の75」で定められている外部点検や作動点検などの日常点検
(機体やプロペラの破損やゆるみなど)
飛行させる空域や周辺状況の確認
気象状況の確認
燃料やバッテリー残量の確認

これらを怠ったまま飛行を開始すると、制御不能・墜落・他者との接触といった事故になりかねません。

そのため、航空法「第132条の86」では「飛行に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ飛行させてはならない」と明記されています。つまり、飛行前の準備行為は単なる推奨事項ではなく、法律上の義務です。

 

航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

航空機(旅客機・ヘリコプターなど)や他のドローンと接近・衝突することは、最悪の場合、命に関わる大事故へと発展します。

そのため、飛行中は常に周囲の空域に注意を払い、他の航空機が接近した場合には即座に降下または回避行動を取らなければなりません。

特に高度150m以上の空域は、航空機の運行に直接影響するため、申請をしなければドローンの飛行はできません。また、イベント会場の上空も航空法や小型無人機等飛行禁止法によりドローンの飛行が制限されていますが、国土交通省への申請・イベント主催者や地域の行政機関との事前調整のうえ、飛行が許可される場合もあります。

イベント会場などでは多数のドローンが同時に飛行している可能性があるため、周囲の状況をよく見極め、衝突を回避させる適切な操縦が求められます。

 

他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

ドローンは飛行方法により重大な事故や第三者への被害につながるリスクがあるため、承認が必要になる飛行方法があります。

承認を得なければならない主な飛行方法は、次の6つです。

夜間飛行
目視外飛行
人または物件から30m未満での飛行
催し場所上空の飛行
危険物の輸送や物の投下
空港周辺やDID(人口集中地区)での飛行

これら6つの飛行方法については、背景と注意点をそれぞれ解説します。

 

夜間飛行

夜間のドローン飛行は、視認性の低下により機体の位置や姿勢、周囲の障害物の把握が困難になるため、墜落などの事故に至るリスクが著しく高まります。

安全上の懸念から、航空法「第132条の86」によりドローンの飛行は「昼間(日中)」のみに限定されており、夜間の飛行を行うには事前に承認を受ける必要があると定められています。

ここでいう「昼間」とは「日出から日没までの間」を指し、国立天文台が公表する時刻が基準です。つまり、日の出・日の入りの時刻は地域によって異なるため、飛行を行う場所に応じて都度確認し、夜間飛行に該当する場合は承認を受けましょう。

 

目視外飛行

ドローンは本来、操縦者が機体を自らの目で常時確認できる範囲(目視範囲内)で飛行させることが基本とされています。

ここで言う「目視」とは、操縦者本人が肉眼で直接機体を見ることを指し、補助者の目視やモニター越しの映像、カメラ、双眼鏡を用いた観察は含まれません。これらは視野が限定されているため、法律上は「目視」とは認められません。

一方で、一時的に機体から目を離してバッテリー残量などをモニターで確認する行為は、目視飛行の範囲内とされています。

したがって、安全確認を目的とした一時的な視線の移動は許容されますが、映像のみでの操縦を行う「FPV飛行(First Person View)」は目視外飛行として扱われ、別途承認が必要です。

 

人または物件から30m未満での飛行

ドローンを飛行させる際には、地上・水上の第三者や物件との間に30m以上の距離を保つことが義務付けられています。

これは、飛行中の機体が何らかの原因で制御不能になった場合に、人や物件との衝突を防ぎ、事故を未然に防ぐことを目的としたルールです。

対象となる「人」および「物件」の定義は、次のとおりです。

■ 対象となる人
この場合の「人」とは、操縦者自身や飛行業務に関与する関係者を除いた第三者を指します。飛行現場に立ち会っていない通行人、居住者、施設利用者などが該当。

■ 対象となる物件
30mの距離を保つべき「物件」は、自動車・鉄道車両・船舶など中に人がいる可能性のある車両、ビル、住居、工場、倉庫など建築物や、橋梁、高架、水門など建築物相当の大きさである工作物が該当。

反対に、以下のようなものは「30mの距離を保つべき物件」には該当しません。

■ 土地そのもの(例:田畑、舗装路面など)
■ 自然物(例:樹木、草木など)

 

催し場所上空の飛行

イベントなど催し場所上空の飛行で、機体の故障や操縦ミスによる落下が起これば、重大な人身事故につながる可能性があります。そのため、基本的にドローンの飛行は「一時的に多数の者が集合する催し場所上空以外の空域」に限定されています。

「多数の者の集合する催し」とは、航空法「第132条の86」に明示されている祭礼・縁日・展示会のほか、プロスポーツの試合・スポーツ大会・運動会・野外開催のコンサート・花火大会などが該当します。

一方、ドローン操縦関係者のみが参加する催し(例:クローズドな訓練飛行)や自然発生的な人混み(例:通勤ラッシュや信号待ちなど)は該当しません。

 

危険物の輸送や物の投下

近年のドローンは、数kgから10kg以上の物を運搬できる高性能機体も登場しており、物資の輸送手段として注目されています。一方で「危険物」の搭載・輸送する行為には重大な安全リスクが伴うため、承認が必要です。

対象となる「危険物」は、以下が含まれます。

■ 対象となる危険物
火薬類(例:花火、信号炎管)、高圧ガス(例:スプレー缶、圧縮酸素)、引火性液体(例:ガソリン、シンナー、アルコール)、有害性化学物質、毒物類など

ただし、すべての火薬類や電池類が輸送禁止というわけではありません。ドローンの飛行自体に必要不可欠となる次のような物については、輸送禁止物件に該当しないとされています。

■ 対象外となる物
機体の動力源として必要なバッテリー(リチウム電池等)、撮影用カメラに内蔵される電池、安全装置として搭載されたパラシュートを開くための火薬・高圧ガス

また、飛行中のドローンから物を落下させる行為も原則禁止されています。落下物が第三者に直撃する危険性が高いためです。

 

空港周辺やDID(人口集中地区)での飛行

ドローンの飛行が制限される空域のなかでも空港周辺と人口集中地区(DID地区)は、特に厳しく管理されているエリアです。ドローンが墜落した場合に与える影響が非常に大きく、航空法により原則として飛行が禁止されています。

人口集中地区(DID地区)の定義は、次のとおりです。

■ 人口集中地区(DID地区)の定義
総務省の国勢調査に基づき、1平方キロメートルあたりの人口密度が4,000人以上、かつ隣接する地域の合計人口が5,000人以上などが条件とされます。都市部を中心に指定されており、住宅地・商業地・駅周辺などが含まれます。

該当エリアでの飛行には、国土交通省の承認が必要です。

 

ドローン飛行禁止空域の一覧

ドローンを禁止する図

ドローンを安全に飛行させるためには、飛行ルールや承認が必要になる飛行方法だけでなく、法律で定められた「飛行禁止空域」を正確に把握しておく必要があります。

以下のような空域では、原則としてドローンの飛行は禁止されています。飛行を行う場合は、国や管轄機関)の許可または承認を得たうえで飛行できる場合もあります。

人口集中地区(DID地区)
地表や水面から150m以上の上空
鉄道とその付近
緊急用務空域
イベント会場・催事中の区域
空港や空港周辺
国の重要施設と周辺
重要文化財と周辺
公道上空
港や領海の海上

これらの空域については、以下の記事で詳しく解説しています。ドローンを飛行させる際には、ご参考にしてください。

Check! ドローンの飛行禁止空域まとめ|空撮前にチェックすべき場所一覧

 

飛行ルール・承認が必要な飛行方法は「知らなかった」では済まされない

本記事で解説のとおり、ドローンの飛行には飛行ルール・承認が必要な飛行方法が存在します。夜間や人口集中地区での飛行、イベント上空での撮影など、特定の条件下では事前の許可や承認が必要であり、万が一違反すれば、罰則といった責任を問われかねません。

「知らなかった」では済まされないのがドローン飛行です。安全性と法令遵守の両立は、空撮業務を成功させる前提条件といえるでしょう。

ドローン東京では、こうしたルールを正確に理解し、適切な申請とリスク対策を行ったうえで、安全な空撮サービスを提供しています。初めて空撮を依頼される方や、撮影許可に不安がある方も、安心してご相談ください。

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