コラム
ドローンの飛行距離は何メートルまで?飛行できる距離が決まる要素を解説
投稿日/2025.06.06
ドローンの飛行距離は、風や障害物、気温などの環境条件によって変動するほか、機体ごとのバッテリー持続時間や通信距離といった性能的な制限、さらに航空法に基づく高度・空域・飛行方法のルールにも影響されます。
本記事では、ドローンをどこまで飛ばせるのかを正しく理解したい方に向けて、飛行距離に関わる要因を環境・機体性能・法律の観点から具体的に解説します。
ドローンの飛行距離は2つの要素で決まる
ドローンがどれだけ遠くまで飛べるかは機体ごとに異なり、市販のドローンでも、数メートルから数キロメートルの飛行が可能とされています。
実際の飛行距離を左右するのは、主に以下の2点です。
■ バッテリーの持続時間(航続時間)
■ 送信機と機体の通信距離(伝送距離)
航続時間と伝送距離について、詳しく解説します。
バッテリーの持続時間(航続時間)
ドローンに搭載が可能と考えられるバッテリーには、いくつかの種類があります。代表的な種類は、次のとおりです。
■ リチウムイオンポリマーバッテリー
■ リチウムフェライトバッテリー
■ ニッケル水素バッテリー
■ 鉛蓄電池
中でも、現在の一般的な空撮用ドローンには、軽量でエネルギー密度が高いリチウムイオンポリマーバッテリーが多く採用されています。
リチウムイオンポリマーバッテリーは、大電力での放電が可能であり極めて内部抵抗が小さいだけでなく、大電流での充電が可能、自己放電が極めて小さいなど、非常に優れた特性を持っています。
ドローンのような飛翔体が長時間飛行するためには「エネルギー量と重量」が重要であり、軽量ながら多くの電力を蓄えられるバッテリーであるほど長く飛行が可能です。
ニッケル水素バッテリーや鉛蓄電池のような重いバッテリーでは、自重に対して十分な推進力を得づらく機体を持ち上げるのも難しい一方、軽量でエネルギー密度が高いリチウムイオンポリマーバッテリーは、ドローンの長時間飛行に向いているバッテリーだといえます。
リチウムポリマーバッテリーの普及、そして進歩があったからこそ、現在のマルチコプター型ドローンの登場や活躍があるといえます。
送信機と機体の通信距離(伝送距離)
ドローンは、スマートフォンや送信機(プロポ)との無線通信によって操作されます。日本国内では主に2.4GHz帯の電波が使用されており、接続方法によって飛行距離に大きな差が生じます。(一部FPVマイクロドローンなどでは5GHz帯を使用する場合があります。)
■ スマートフォンでのWi-Fi接続:約80〜100m
■ 専用送信機(プロポ)使用: 説明書上は最大2〜15kmの通信が可能
専用送信機(プロポ)を使えば、遠距離まで安定した操作が可能になります。一方で、日本の航空法では目視外飛行が原則禁止されているため、飛行距離に法的な制限があることにも注意が必要です。
飛行方法による飛行制限については、記事内で後述します。
環境によってもドローンの飛行距離が変化する
ドローンメーカーが提示する最大飛行距離は、無風・障害物なし・理想的な温度環境といった、ごく限られた試験条件下での数値です。
実際の飛行では、前述したバッテリーの持続時間(航続時間)と送信機と機体の通信距離(伝送距離)だけでなく、以下のような環境要因でもドローンが飛行できる距離は変化します。
■ 風の強さ:風が強いと、機体が姿勢を維持したり、進行方向を保つために推進力を余計に必要とし、バッテリーの消耗が早まる
■ 障害物:建物や樹木などがあると電波が遮られ、送信機との通信が不安定になり飛行距離が伸びない
また、ドローンは静止状態よりも一定速度で移動しているほうが揚力の効率が良く、エネルギー消費を抑えられるという特徴があります。これは「転移揚力」と呼ばれ、ドローンやヘリコプターに共通する航空力学の原理です。
このように、単に直線距離を延ばすだけでなく、風向きや障害物を考慮したルート設計の工夫も飛行距離の確保に効果的となります。
法律やルールにより飛行距離が制限される場合がある
物理的に飛ばせる距離が長くても、日本国内では航空法などの法律により、飛行距離に制限がかかる場合があります。
■ 高度による飛行制限
■ 飛行禁止区域・空域による飛行制限
■ 飛行ルールによる飛行制限
これらの制限について、解説します。
高度による飛行制限
ドローンを地表または水面から150mを超える高さで飛行させることは、航空法により原則禁止されています。有人航空機の飛行高度帯と重なり、接触のリスクが高まることが主な理由です。
また、150mを超える高高度では、電波が届きにくくなるほか、強風などにより機体の制御が困難になる可能性もあります。これにより、万が一制御不能となった場合の地上への落下被害も深刻化するおそれがあります。
このようなリスクを避けるため、150mを超える高さでの飛行を行う場合には、国土交通大臣への許可申請が必要です。さらに、飛行空域によっては、航空管制機関との事前調整が求められるケースもあります。
飛行禁止区域・空域による飛行制限
ドローンの飛行距離は、物理的な通信距離やバッテリー性能だけでなく、法律で定められた飛行可能エリアにも大きく左右されます。
たとえば、空港周辺や人口集中地区(DID)などは、航空法によって飛行が禁止または制限されている空域に該当します。
これらの空域を横断するような飛行は、原則として認められていません。仮に通信距離やバッテリーに余裕があったとしても、法的に飛行可能な範囲が制限されているため、実際の飛行距離は大幅に制限されます。
〈Check! ドローンの飛行禁止区域・空域まとめ|空撮前にチェックすべき場所一覧〉
飛行方法による飛行制限
どのような飛行方法かによっても、ドローンの飛行距離は制限を受けることがあります。
たとえば、操縦者がドローンを直接目視せず、カメラ映像などを見て操作する目視外飛行は、原則として航空法により禁止されています。そのため、飛行ルートに目視外となる区間が含まれる場合は、それを避けるように計画しなければなりません。
このように、飛行方法によって飛行距離に制限が生じるケースがあります。
〈Check! ドローンの飛行ルールや承認が必要な飛行方法〉
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ドローンの飛行距離は、バッテリーや通信距離といった機体の性能だけでなく、環境やルール・法律といったさまざまな要素によって左右されます。とくに長距離や高高度での飛行には、正確な知識と許可取得、そして豊富な飛行経験が欠かせません。
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