コラム
ドローンの空撮でできること|映像制作から建設・農業・点検まで
投稿日/2025.05.12 最終更新日/2025.05.16
ドローンを活用した空撮は、いまや映像制作だけにとどまらず、建設や不動産業界、農業、点検・測量といった多様な業界で活用が進んでいます。
従来の地上や有人航空機では難しかったアングルからの撮影や、短時間での広範囲記録を可能にする技術であり、映像の質向上や作業効率化にも効果的な方法です。
さらに、VRや360度映像といった最新コンテンツ制作にも対応し、プロモーションの質を一段と高めるツールにもなっています。
本記事では、ドローン空撮で「具体的にどんなことができるのか」「依頼した場合の費用感」などをわかりやすく解説します。
導入を検討している企業や自治体のご担当者様にとって、ドローン活用のイメージが湧く情報をお届けするため、ぜひ参考にしてください。
ドローン空撮の主な活用分野とできることまとめ
ドローンを活用した空撮は、視点の自由さや高所からの撮影精度を活かし、さまざまな業界の現場で導入が進んでいます。
ドローン空撮の活用が進んでいる主な分野は、次のとおりです。
◾︎ 映像制作・プロモーション分野
◾︎ 建設・不動産・都市開発分野
◾︎ 農業・環境管理分野
◾︎ 点検・インフラ保守分野
◾︎ 測量・3次元データ作成分野
分野ごとにどのような空撮が可能で、どんな業務や目的に活かされているのかをまとめました。
弊社、ドローン東京が撮影した映像も載せています。どのような空撮映像が撮れるのかも、ぜひ参考にしてください。
映像制作・プロモーション分野
ドローン撮影といえば、映画やCM、YouTube動画といった映像制作で活用されているイメージが強い方も多いのではないでしょうか。それだけでなく、観光地や商業施設のPR、商品紹介などのプロモーション分野でも広く活用されるようになりました。
◾︎ 映画・CM・YouTube動画でのダイナミックなカット撮影
◾︎ 観光地や商業施設のプロモーション用空撮
◾︎ マイクロドローンによる室内撮影で企業PR
◾︎ 商品のPR
◾︎ VR映像・360度動画などコンテンツ制作
◾︎ 卒業式、ウエディングシーンでの記念動画撮影
上空から被写体と美しい風景を同時に映すようなダイナミックなカットや、建物の間を抜けるような滑らかな動きの撮影は、視覚的なインパクトを生み出し、印象的な映像演出に役立ちます。
また、マイクロドローンを使った室内撮影により、企業や店舗・工場の内部紹介、企業PRにも対応可能であり、卒業式や結婚式といったイベントの記念映像としても人気を集めています。
360度カメラを用いた撮影では、ドローンにVR対応カメラを専用のジンバルで搭載することで、空中を飛んでいるような臨場感のある映像や写真を撮影できます。まるでその場にいるかのような没入感を演出できるのが特徴です。
建設・不動産・都市開発分野
高層マンションの眺望撮影や、工事の進捗管理、竣工後のプロモーション映像など、建設や不動産の現場でもドローンの空撮は欠かせない存在になってきています。
不動産販売や開発提案の説得力を高める手段として多くの現場で導入が進み、以下のような方法でドローンが活用されています。
◾︎ 建築予定マンションなどの眺望撮影
◾︎ 工事進捗の定点観測・記録
◾︎ 竣工時のプロモーション映像制作
建設予定地からの上空映像を撮影することで、完成後にどんな景色が広がるのかを購入希望者にリアルに伝えることができるようになりました。
モデルルームやパンフレットだけでは伝わりづらい“生活イメージ”の訴求に役立つため、物件の価値や魅力をより効果的にアピールし、成約率の向上に期待できます。
また、工事の進行状況を定期的に上空から記録することで「施主や関係者との情報共有や報告業務を効率化する」、竣工後のプロモーションでは、建物全体や周辺環境をダイナミックに見せることで、営業資料や広告における差別化が図れます。
農業・環境管理分野
広大な土地を一望できるドローンの視点は、農業や環境管理の現場でも大きな役割を果たしています。人手不足や広域管理といった現場の課題を解決する手段として注目を集め、次のような方法でドローンが活用され始めました。
◾︎ 圃場の全体把握・生育状況の記録
◾︎ 農業機械とのデータ連携・スマート農業活用
◾︎ 森林・河川・土地の調査や監視
圃場全体を上空から撮影することで、生育状況や病害虫の広がり、水はけの偏りなどを可視化でき、管理や対応の判断が迅速になります。
それだけでなく、従来は人が歩いて確認していた範囲を短時間で把握できるため、作業効率の大幅な向上にも役立ちます。
ドローンで取得した画像データを農業機械と連携させれば、スマート農業の実践にもつながり、作物の品質向上や収量の最適化も可能です。
また、森林や河川、土地の状態を定期的に撮影・記録しておくことで、土砂崩れの兆候や水位の変化など「災害リスクの早期発見」にもつながり、過去の映像と比較すれば、自然環境の変化を視覚的に把握できる点も強みです。
点検・インフラ保守分野
高所や危険を伴う設備の点検作業においても、ドローンは安全性と効率を両立させる手段として活躍しています。
◾︎ 屋根や高所の構造物の目視点検
◾︎ ソーラーパネルの異常検知(サーモグラフィ)
◾︎ 工場・倉庫などの設備点検の効率化
住宅や工場の屋根、橋梁、煙突などの高所構造物を上空から撮影することで、足場を組まずにひび割れや劣化の有無を確認することができます。これにより、作業員の安全を確保しながらコストや時間の削減も実現可能です。
ソーラーパネルの点検では、ドローンに搭載したサーモグラフィカメラで温度の異常を検知することが可能で、目視では発見が難しい故障箇所も早期の特定に期待できます。
工場や倉庫内の設備点検においても、狭い通路や高所をスムーズに移動しながら撮影できるため、業務の省力化や定期点検の質の向上に貢献します。
測量・3次元データ作成分野
土地の現況把握や地形のデジタル化といった業務において、ドローンは高精度かつ効率的な測量手段として活用されています。
スピードと精度を両立しながら、測量や計画立案の効率を高める技術として、ますます注目が集まっている活用方法です。
◾︎ オルソ画像作成や地形の3Dモデリング
◾︎ 土地開発前の現況把握・測量データ取得
上空から撮影した画像をもとにオルソ画像を作成することで、歪みのない平面図を生成でき、従来の手作業による測量に比べて大幅な時間短縮が可能になります。
また、撮影データを3Dモデリングソフトと連携させることで「地形や構造物の立体的な再現」を行うことができます。この技術により、造成工事や土地開発に先立つ現況確認、設計シミュレーションなどに役立てることも可能です。
ドローンの活用で広範囲のデータを短時間で取得できるため、人力や有人測量機器では対応が難しい場所でも安全かつ正確なデータ収集ができるようになりました。
プロに頼まないとドローンで空撮はできない?
個人でもドローンを使って撮影することは可能で、簡単な操作であれば免許や資格がなくても楽しめます。趣味の範囲での映像制作などは、自分で機材を用意すれば比較的手軽に始められます。
しかし、都市部や空港周辺などの「飛行禁止空域」での撮影には、許可申請が必要です。さらに、人が集まるイベント会場や私有地の上空を飛行させる場合にも、関係者の同意や追加の手続きが求められます。これらを知らずに撮影を行うと、航空法や電波法違反になり罰則のリスクもあります。
安全かつ目的に応じた高品質な空撮を行うためには、プロに依頼することがもっとも現実的かつ安心な方法だといえるでしょう。
一部のマイクロドローンは無線免許と開局申請が必要
FPV(First Person View)など一部のマイクロドローンにおいては、技術適合証明を受けていない電波を使うケースもあります。業務で使用する場合には「第3級陸上特殊無線技士」の免許取得と無線局の開設申請(開局)が必要です。
技術適合証明を受けていない電波をアマチュア局の資格で業務に使うことは、電波法違反となるおそれがあります。ドローン自体が産業であるか否かは関係なく、業務で使用する場合には「無線免許(無線従事者資格)」と「開局申請」が必要だということは、理解しておきましょう。
ドローンの国家資格保持者なら「レベル4飛行」が可能
国が定める国家資格かつ、当該の規制について限定解除を受けた「一等無人航空機操縦士(通称:1等ライセンス)」を取得していれば「レベル4飛行」と呼ばれる、高度な飛行が可能になります。
レベル4飛行は、人が住んでいる場所や人通りの多い市街地といった「第三者上空」で、操縦者が目視で監視せず、補助者も配置せずに、ドローンを自動で飛行させるという非常にハイレベルな飛行形態です。ドローン飛行における最終到達点とも言える飛行形態であり、安全面や技術面で極めて高度な運用体制が求められます。
レベル4飛行を行うには、「1等ライセンス」の取得に加え、国から認証を受けた専用の機体を使用し、詳細な飛行計画を作成して申請・許可を受ける必要があります。
ドローン東京の操縦士は、無人航空機技能証明(一等)を取得しています。
無人航空機技能証明制度の背景や目的
取得意義についてはこちらの記事をご覧ください。
空撮をプロに依頼する場合の費用相場
ドローンによる空撮を業者に依頼した場合、費用相場はおおよそ10万〜30万円程度が目安です。
内容や目的、使用する機材の種類によって幅がありますが、一般的には撮影基本料と編集費用を合わせて、1案件あたり20万円前後となるケースが多くなっています。
【ドローン撮影の費用相場】
◾︎ 撮影の基本料金(フライト1回ごとの撮影時間や難易度によって変動)
◾︎ 機材費(使用する機体・カメラの性能によって異なる)
◾︎ クルーの人件費(操縦者・補助者・撮影補助スタッフなど)
◾︎ 編集費(動画や静止画の編集、テロップやBGMの追加など)
◾︎ 追加フライト費(複数現場・長時間撮影など)
◾︎ 出張・交通費(遠方でのロケ撮影に対応する場合)
◾︎ 撮影許可や飛行申請の代行費(空港周辺や市街地など規制エリアでの撮影時)
◾︎ ロケハン費用(事前の現地確認や構図設計を行う場合)
こうしたコストを踏まえても、安全な運航管理、確実な許可取得、目的に合った撮影クオリティの担保を考えれば、プロに依頼することは大きなメリットと言えるでしょう。
費用の詳細やケース別の価格感については、以下の記事で詳しく解説しています。
〈Check! 【ドローン撮影の費用相場】ケース別の価格や空撮料金の内訳、外注するメリットを徹底解説〉
ドローン空撮はあらゆる業種で活用が進んでいる
ドローンによる空撮は、もはや映像制作や観光PRといった一部の分野に限られた技術ではありません。建設、不動産、農業、インフラ点検、測量など、あらゆる業種において、業務の効率化や情報の可視化、高品質なコンテンツ制作の手段として活用が進んでいます。
特に近年では、安全性の確保やデータ利活用の観点からも、ドローンの導入は重要性を増していると言えるでしょう。
一方で、飛行ルールや許可申請の煩雑さ、機材の選定、撮影スキル、編集体制など、専門知識と技術が求められる場面が多いのも事実です。
「ドローン東京」では、企業プロモーションや施設紹介から、建設現場の記録、点検・測量まで、幅広いニーズに対応した空撮サービスを提供しています。全国対応・飛行許可の申請代行・編集まで一括対応しているため、初めての方でも安心してお気軽にご相談ください。